第233回「継続賃料(契約当事者間の公平)」
2024.02/16
経済レポート2947号[令和5年9月26日]掲載
- はじめに シリーズで、継続賃料(既に契約関係に入っている当事間における賃料の改定)を巡る評価についてとり上げています。前回まで、「直近合意賃料」、「事情変更と諸般の事情」をとりあげました。今回は、「契約当事者間の公平」にフォーカスします。
- 契約の拘束力と公平の原則
実務指針では、次のとおり述べられています。
つまり、当初いくらの賃料にしようが、その後いくらで改定しようが、当事者間の自由です。しかし、いったん契約関係に入ると、当事者にはその契約を守る必要が生じます。
賃貸借契約は、売買等の1回こっきりの契約とは異なり、長期間に及ぶことがほとんどです。この様なことから、契約締結後の経済事情の変動や諸般の事情等から、当初の契約の拘束力を維持し続けることが不相当となったり、不公平となったりすることがあります。この様な事態に備えて、借地借家法は第32条で賃料増減請求の定めをおいています。 - 設例
例えば、当初、相場より割高な賃料であったことを自覚しつつも、過度な収益見通しによって高額な家賃で契約をし、店舗を出店した場合、2~3年後に当初契約はそもそも割高であったとし、相場なみの賃料への減額を請求するとします。
オーナー(賃貸人)が話し合いによって了承すればもちろんそれでOKです。しかしながら法的(借地借家法)には、賃料減額請求権を行使することは、諸般の事情等が認められる場合を除いて、一般論的には難しいと思われます。(注)公平を衝平とする裁判例もあります。
以上
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