第242回「マンションの評価(その5)」
2024.11/12
経済レポート2983号[令和6年6月25日]掲載
- はじめに 相続税評価額と時価(市場売買価格)との乖離を利用したいわゆる「タワマン節税」は、令和4年4月19日最高裁判決が下される等注目をあつめました。こうしたなか、令和5年10月国税庁から、マンション評価の新通達(居住用の区分所有財産の評価について)が示され、令和6年1月1日以降に相続、遺贈又は贈与により取得した財産の評価については、この新通達によって評価する取扱いに変更されています。
そこで、シリーズでマンションの評価をとり上げています。 - 新通達の評価手法
新通達の具体的な評価手法(算式)としては、総階数、所在階、築年数、敷地持分狭小度の4つを指数化して評価乖離率を算出し、これによって従来の評価額を修正する手法となっています。
- 不動産鑑定評価基準における評価手法
これに対して、不動産鑑定評価基準における評価手法は次のとおりであり、3手法を適用のうえ、関連付けて求めることとなっています。
- 最後に この新通達における評価手法は、従来は原価から求める積算価格的な考え方を中心に評価していたのに対して、従来型の評価に取引事例比較法的な要素を加えたものともいえます。
よくできた新通達ですが、一方で、あくまで課税のための評価であり、課税の公平を図りつつ、納税者自身の容易な予見可能性(容易に算出が可能)を確保する観点等が求められていることから、全国一律ベースの適用で地域性が反映されていないこと、最新の動向が反映されていないこと、向きや位置(南向き、角部屋等)等の個別性が反映されていないこと等の事柄も指摘されています。
以上
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