第244回「令和6年路線価」
2025.01/14
経済レポート2991号[令和6年8月27日]掲載
- はじめに 7月1日、令和6年分の路線価が国税庁のホームページで公開されました。この路線価は、毎年、1月1日を評価時点として、地価公示価格等を基にした価格の80%程度を目途に定められています。路線価が開始されたのは、昭和30年であり、69年が経過しています。
今回、都道府県庁所在都市の最高路線価は、37都市で上昇、9都市(青森、山形、福島、水戸、甲府、松江、山口、高知、宮崎)で横ばい、下落したのは鳥取の1都市のみでした。 - 広島の最高価格地点等
①広島の最高価格地点の変遷
現在の広島の最高価格地点は、胡町 相生通り 福屋百貨店前の3,570千円/㎡(対前年変動率+5.3%)です。確認できる文献で最古の最高価格地点は、昭和34年の堀川町とらや菓子店前の76千円/㎡でした。現在、とらや菓子店は廃業していますが、今でいうパルコ前(本通りと金座街の交差点)にあったと思われます。福屋百貨店は昭和13年には既に開業していましたので意外な感じを受けました。現在の路線価は、平成4年から、地価公示価格の80%水準に引上げられていますので、30~50%水準にあった当時との単純比較はできませんが、その評価額は65年間で、実に約47倍に至っています。
最高価格地点は、とらや菓子店前から、少なくとも、昭和52年には福屋百貨店前となり、平成8年に基町広島そごう前に移り、平成27年に再び福屋百貨店前に戻って現在に至っています。平成8年に広島そごう前にトップ地が移ったのは、そごう新館、リーガロイヤルホテル、アストラムラインの開業等の影響と思われます。最新の令和6年の路線価は、福屋百貨店前3,570円/㎡、広島そごう前3,440円/㎡と約4%程度の開差となっています。再開発等の動きもあり、今後の動向が注目されるところです。
②広島の最高価格の推移
広島の最高価格は次のとおり推移しており、現在の地価は昭和60年台前半ないし、平成10年頃の価格水準となっています。
- 都道府県庁所在都市における価格順位
以下の数字は、都道府県庁所在都市の最高路線価における広島の順位です。確認できる最古のデータである昭和34年当時9位、その後の変遷は不明ですが、昭和52年で4位。以降、徐々に順位を落としていき、近年は、仙台とトップテン争いを繰り返していましたが、令和3年に10年振りに仙台に抜かれてトップテン外となっています。ちなみに、令和6年の仙台は3,630千円/㎡で広島の+1.7%です。
なお、昭和52年の4位は、東京、大阪、横浜に次ぐもので、おどろきでした。現在4位の名古屋は、意外にも当時は7位でした。
以上
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