コラム(詳細)

第251回「袋地、無道路地、路地状敷地、旗竿地」

2025.08/20

経済レポート3019号[令和7年3月25日]掲載

  1. はじめに
      法律上は、上記の民法の規定に則って第1項の他の土地に囲まれて公道に通じない土地を「袋地」といい、第2項の土地を「準袋地」ということが多い様です。一方で、筆者の感覚では、不動産の実務面においては、異なった定義(異なった意味)で袋地を使用することが圧倒的に多いと感じています。そこで、今回は、この袋地等をとりあげます。
  2. 袋地、無道路地、路地状敷地、旗竿地

    (1)法律上(民法上)

     民法上は、無道路地等への言及はなく、また、形状の如何にかかわらず、C地のことを袋地(又は準袋地)といいます。
    (2)鑑定評価上

     土地価格比準表(国土交通省土地建設産業局地価調査課)に記述があり、鑑定評価の実務においては、この定義を採用することが一般的と思われます。
     A地は接道義務を満たしている袋状(路地状部分を有する)の土地であることから袋地といい、B地は路地状部分で道路に通じているものの接道義務を満たしていないことから無道路地といい、C地はそもそも道路に通じておらず、接道義務も満たしていないことから形状の如何にかかわらず、無道路地といいます。
    (3)税務上(国税 財産評価基本通達上)

     相続税等の評価で用いられる財産評価基本通達では「無道路地とは、道路に接していない宅地(接道義務を満たしていない宅地を含みます。)をいいます。」としており、無道路地についてのみ言及があります。したがって、B地とC地は無道路地として評価され、A地は袋地とはいわずに、間口の狭い不整形等な土地(不整形な土地の一種)として評価されることとなります。
    (4)条例上

     東京都安全条例等では、A地のことを「路地状敷地」といっています。なお、条例で、安全上・防火上の配慮から、建物の敷地として利用するためには、路地状部分の長さによって間口の必要幅が定められていたり、建築規制が厳しくなる等している場合があります。
    (5)その他

     いつのころからか、A地は、その形が竿のついた旗に似ていることから、旗竿地(はたざおち)と呼びはじめられており、上記の様に袋地の定義が民法上、鑑定上、税務上、異なっていることもあってか、今や、旗竿地の呼称が主流となっている感もしています。

以上

 

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