コラム(詳細)

第252回「令和7年地価公示」

2025.09/12

経済レポート3022号[令和7年4月15日]掲載

  1. はじめに  令和7年3月18日、令和7年地価公示が公表されました。全国の用途別の平均変動率は、住宅地+2.1%、商業地+3.9%、工業地+4.8%と、住宅地及び商業地は4年連続して上昇。工業地は9年連続して上昇し、全用途でその上昇幅も拡大しています。その内容をみると、上昇をけん引したのは東京圏をはじめとする大都市で、東京23区の商業地は11.8%上昇しています。地価の上昇は地方にも波及しており、上昇地点は半数に及んでいます。一方で地場産業の低迷や人口減等で地価の下落に歯止めがかからない地点もあり、二極化も一段と進んでいる状況下にあります。
     今回は、この地価公示のなかで、国土交通省が「特徴的な地価動向が見られた」としてピックアップしたものを紹介します。なお、国土交通省が公表したものを筆者が抜粋・加工等していますのでお含み置き願います。
  2. 特徴的な地価動向が見られたもの
    (1)千葉県 流山市(交通利便性や生活利便性に優れた地域)
     流山市の住宅地は、旺盛な住宅需要を背景に市の平均変動率は+13.6%(前年+10.1%)と地価の高い上昇が継続している。子育て世帯を中心に人口の増加も続いている
    (2)長野県 白馬村・野沢温泉村(リゾート地・観光地の別荘・コンドミニアム需要)
     白馬村の住宅地は、別荘やコンドミニアム需要が旺盛で、国内外からの資本が流入している状況にあり、村の平均変動率は+19.8%(前年+10.5%)と地価の高い上昇が継続している。商業地は、観光客数の増加により、ホテル、店舗需要が旺盛であり、白馬5-1(商)は+33.0%(前年+30.2%)と地価の高い上昇が継続している
     野沢温泉村の住宅地は、住商混在地域が多くを占めており、近年は外国人をはじめ良質な雪質を求めるスキー客向けのペンション等宿泊施設の需要が旺盛なことから、村の平均変動率は+19.4%(前年+13.0%)と地価の高い上昇が継続している
    (3)兵庫県 城崎温泉(外国人を含めた観光客が増加した観光地)
     豊岡5-3(商)は、温泉街の中心地である一の湯と御所の湯の間に所在し、旺盛な店舗・宿泊需要を背景に+20.2%(前年+7.0%)と地価は高い上昇を見せている
    (4)北海道 千歳市(大手半導体メーカー工場進出による影響)
     ラピダス進出を契機とした賃貸マンション用地需要をはじめとして、事務所・ホテル店舗用地の需要が非常に旺盛となる中、特に商業地において、市の平均変動率は+37.8%(前年+24.8%)と地価の高い上昇が継続している。また、工業地については、関連企業の進出が多く見られ、工業地への需要が急激に高まっていることから、地価の高い上昇が継続している
    (5)石川県 能登地域等(令和6年能登半島地震などによる影響)
     石川県能登地域を中心に、地震や豪雨による建物及びインフラ被害などで人口流出が加速し、住宅及び店舗等の需要低迷により、地価の下落幅が拡大している。全国の下落率1位は、住宅地が石川県輪島市の地点で▲14.5%、商業地が石川県珠洲市の地点で▲16.8%となっている。
  3. 最後に 広島県の用途別の平均変動率は、住宅地+1.3%(前年+1.0%)、商業地+2.7%(前年+2.4%)、工業地+2.2%(前年+1.7%)と上昇が続いており、その上昇幅も拡大しています。住宅地の上昇率トップは中区西白島町の地点で+7.0%(前年+6.6%)。商業地は2年連続して広島駅南口駅前の南区松原町の地点で+9.8%(前年+9.4%)。価格のトップは、16年連続で「中区八丁堀15-8」で404万円/㎡となっています

以上

 

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