第255回「不動産鑑定評価基準(その1)…基本的考察」
2025.12/11
経済レポート3035号[令和7年7月22日]掲載
- はじめに 前回、不動産の鑑定評価を行うにあたってその拠り所となる統一的な基準を「不動産鑑定評価基準(以下、単に「基準」という)」といい、昭和39年に制定されて以来、これまで累次の改正が行われてきたこと。これは法律ではなく、国土交通省の事務次官通知であること。この基準以外にも、基準運用上の留意事項等の国土交通省によるものがある外に、公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会が公表する実務指針等があることに言及しました。
そこで、今回からシリーズで「基準」をとりあげます。初回は、「不動産の鑑定評価に関する基本的考察」です。 - 不動産の鑑定評価に関する基本的考察
この基本的考察は、基準の総論第1章であり、不動産の鑑定評価とはどのようなことであるか?何故に必要であるか?その役割は?要請されるものは何であるか?から始まっています。
このなかで不動産の価格については次の様に述べられています。
また、紙面の関係で全ての解説はかないませんが、箇条書きで列挙すれば、次の様な事柄にふれています。

- 最後に この基本的考察の部分は昭和39年の基準の制定にあたり中心的な人物であった櫛田光男氏(大蔵省理財局長、国民金融公庫総裁、土地鑑定委員会委員長、国有財産中央審議会会長等を歴任)が当時直接書き下したものとされています。これを総論第1章とし第2章以降は実務面が中心となるのに対して、評価の本質や根本精神を示すものとして、この基本的考察の部分はほとんど改正されることなく、現行の基準に受け継がれています。
筆者の好きな一節は次のくだりです。「今日の価格(又は賃料)は、昨日の展開であり、明日を反映するものであって常に変化の過程にあるものである。」
以上
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