コラム(詳細)

第2回「地価公示」

2004.04/27

経済レポート2013号[平成16年4月27日号]掲載

  1. 平成16年地価公示の概要
    3月22日地価公示が発表されました。その結果をみると東京都心で下げ止まり傾向が出ているほか、名古屋、札幌、福岡の各市で上昇地点が現れる等国土交通省は地価の動向に変化の兆しがみられると分析しています。ただ、地方では下落基調が続いており、都市と地方の地価格差が一段と広がっています。
    広島県においても下落が続き、当県の最高地点である紙屋町のさくら広電ビル1,820,000円/m2は、全国の最高地点であるJR東京駅前の丸の内ビルディング21,000,000円/m2の10分の1以下の水準にまで落込んでいます。
  2. 地価公示制度とは   
    国土交通省が地価公示法に基づき選定した地点(全国で31,866地点、県内は781地点)の毎年1月1日現在の1m2当たりの価格を公表する制度です。この価格は「現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格」と定義されており、この価格を正常価格と呼んでいます。
    なお、これと類似の制度として、都道府県が行う地価調査があり、毎年7月1日現在の価格が9月下旬に公表されます。
  3. 地価公示の役割   
    当初は、一般の土地取引の際の目安とされたり、公共用地の取得の際の評価の算定や適正な地価形成に寄与することを目的としていましたが、最近では相続税や固定資産税の評価の基準としても活用されているほか、企業会計の時価評価、不良債権処理等多くの場面で活用されています。
  4. 地価公示価格とは

    (1) 

     かたよらない価格
    営業上どうしても角地がほしい、決算対策や借金の返済のためにどうしても早く売りたいといった様々な事情や思惑等が現実の売買には多くあることから売買価格と地価公示価格とは一致しないこともあります。地価公示価格はこれらの特殊な事情を取り除いたニュートラルな価格です。

    (2) 

     更地価格
    土地本来の価値を示すため、建物が建っていない状態を前提として(更地として)評価しています。したがって、貸ビルや取壊しが合理的と認められる建物があるなどの場合の土地の評価とは異なります。

  5. 活用の仕方

    (1) 

     入手方法
    新聞等で公表されるほか、図書館、県庁、市役所等でも閲覧可能です。また、国土交通省のホームページにも掲載されています。

    (2) 

     条件の比較
    地価公示地と調べたい土地の道路の狭広、容積率、地形等の優劣を比較することによっておよその価格が導かれます。ただ、精緻な比較にあたってはより詳細な分析が必要となることから、あくまでも目安として活用することをお勧めします。

  6. 最後に   
    かつて地価は名目GDPとほぼリンクした動きを示していました。昨今の地価公示をみるとこの図式は崩壊した感があります。私見ですが、今後は失業率等の影響がより色濃く出るのではないかと感じています。

以上