第5回「原価法」
2004.07/27
経済レポート2025号[平成16年7月27日号]掲載
- 原価法
原価法とは、不動産の建設費等の費用(コスト)に着目して、評価する手法です。
価格時点における対象不動産の「再調達原価」を求め、これに「減価修正」を行って求めます。この手法による試算価格を積算価格といいます。
建物の評価に用いられることが多く、建物をイメージすればわかりやすいと思いますが、最近造成された造成地や埋立地、またマンションの評価にも用いられます。
- 再調達原価
再調達原価とは、今、新規につくり直すとすればこれに必要なコストはいくらかかるかという「適正な原価」のことです。 - 減価修正
減価修正は、老朽化等の経年に応じた減価、物理的損傷、旧式化等の機能的減価、周辺環境の変化に伴う経済的減価などに加え、経済的な残存耐用年数を考慮して行います。
一般に、日本では、木造の戸建住宅は20年程度で価値ゼロとよくいわれますが、これは、戦後の高度経済成長や建築資材・工法の進歩、ワークスタイルや生活スタイルの急激な変化により、欧米諸国と比較して建物の寿命がかなり短かったことが原因と考えられます。 - 特徴等
原価法はコストを反映したものですから、視点を変えれば供給者側に立った評価手法です。かかったコストは単なるコストであって、マーケットでの評価は別の話(売れる値段は別)です。特に不況期や嗜好的要素の強い投資、中古物件については、コスト的評価とマーケット的評価が乖離する傾向が強く注意が必要です。
以上