コラム(詳細)

第24回「物件調査編その7(災害防止のための規制パート1)」

2006.03/28

経済レポート2105号[平成18年3月28日]掲載

 今回は「災害防止のための規制」です。広島県は全国一土砂災害の起こりやすい県です。山地が多く、風化して水を含むと崩れやすくなる花崗岩が広く分布しており、土砂災害の危険のある場所は約3万2,000ヵ所と全国一となっています。

  1. 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律による規制

    この法律で「急傾斜地」とは傾斜度が30度以上の土地をいいます。がけ崩れの危険性があったり、誘発助長するおそれがある急傾斜地を、急傾斜地崩壊危険区域に指定することができます。この区域内で、水の放流や切土・掘削・盛土等をする場合には許可が必要となります。

  2. 災害危険区域による規制

    建築基準法の規定にもとづき、都道府県知事は、条例で災害危険区域を定めることができます。津波、出水、崖崩れ等の災害発生の危険性が高い場所を、条例により災害危険区域に指定して、建築の禁止その他の制限をすることができます。
    災害危険区域の内容はそれぞれの地方の実情によっています。広島県の場合(広島県建築基準法施行条例)、災害危険区域は上記の急傾斜地崩壊危険区域と同一の区域となっており、一定の例外を除いて住居の用に供する建築物を建築できないこととなっています。
    なお、この条例では「がけ付近の建築物」についても制限が加えられており、がけ(30度を超える角度をなす土地で高さが2mを超えるものをいう)がある場合には、一定の例外を除いて住居の用に供する建築物は、がけの高さに応じてがけから一定の水平距離を保つ必要があります。

  3. 地すべり等防止法による規制

    地すべりの危険がある区域を地すべり防止区域に、また、ぼた山のあるところをぼた山崩壊防止区域に指定します。区域内で一定の行為をするときは、都道府県知事の許可を得なければなりません。

  4. 最後に

    これらの区域に指定されているかは、現地の標識もありますが、県や市の窓口で確認できます。
    次回は、平成13年4月に制定された「土砂災害防止法」をとりあげます。 


    土石流危険渓流
    (渓流数)
    広  島 9,964
    島  根 8,120
    山  口 7,532
    岩  手 7,198
    兵  庫 6,912
       
      全国 計 183,863

    急傾斜地崩壊危険箇所
    (箇所数)
    広  島 21,943
    山  口 14,431
    大  分 14,293
    島  根 13,912
    兵  庫 13,550
       
      全国 計 330,156

    注:平成14年度公表。

以上