第27回「土地白書編(その1)」
2006.06/27
経済レポート2117号[平成18年6月27日]掲載
今回からシリーズで土地白書についてとりあげます。第1回目は「社会経済の変化と土地市場の構造変化」です。
今回の土地白書は、我が国の土地をめぐる状況は大きく変化しているとし、次のとおり総括しています。
土地を取り巻く社会経済状況は、人口減少の本格化など構造的に大きく変化している。また、最近の土地市場の動向は、景気が回復基調にある中で、一部地域で活発な動きがみられるものの、土地需要は総じて低迷している。需給構造をみると、これまでとは大きく異なり、新たな不動産投資手法の活発化を反映して、収益性や利便性が重視される傾向が強まるとともに、国民や企業の間に、土地は適正に利用することにより価値が生み出せるという意識が定着している。 |
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土地をめぐる社会経済状況
・ 人口がピーク ・ 世帯数も平成27年にピーク ・ 今後の土地需要の大きな伸びは期待薄 ・ 低・未利用地の増加が懸念材料 ・ 企業部門の需要が減少傾向 -
土地に関する意識の変化
・ 土地神話といわれる意識が消滅 ・ 自然環境や景観等に配慮した利用への関心の高まり ・ 土地を資産として有利と考える割合が減少 ・ 企業については土地を処分する動きが進行中 ・ また、景気回復下においても引き続き実需中心の売買 ・ 減損会計については、未利用地の処分が困難とする企業多 -
最近の土地市場の動向
[1] 地価と土地取引の動向
・ 地価の全国平均は15年連続の下落 ・ 下落幅は減少 ・ 大都市の都心部を中心に持ち直しの動き ・ 一部の地方中心都市にも持ち直しの兆候 ・ 土地取引件数が大都市圏で増加 [2] 土地需要
・ 景気の回復、バランスシート調整の進展等を受けて一部で工場新設等の土地投資の増加 ・ 賃貸オフィスビルの空室率低下、一部で賃料の上昇も ・ 全国の住宅着工は3年連続で増加 ・ マンション供給が堅調 ・ 都心部において業務系から住宅系への土地利用の転換が進む [3] 不動産投資市場
・ 不動産証券化という新しいスキームを用いた不動産投資市場が活発化 ・ 上場企業の不動産取引のうち、Jリート又はSPCが買い手となる割合が年々増加(平成17年下期では購入主体の64%がJリート又はSPC) ・ Jリートの保有物件総額は約4兆円 ・ また、投資対象が住宅や物流施設など多様化 ・ なお、投資地域も多様化し、地域圏でも投資が活発化
以上