第28回「土地白書編(その2)」
2006.07/18
経済レポート2120号[平成18年7月18日]掲載
前回から引続いて土地白書の2回目です。
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各地域における土地利用の動向
- 大都市の都心部では都心居住の進展、良質大規模オフィスビルの供給、コンバージョン等により一部で利用転換が進行中
- 大都市の郊外部ではこれまでのような宅地需要の伸びは期待薄
- 地方都市の中心市街地は空洞化がみられる
- 地方都市の中心市街地の賑わいの回復が重要
- 耕作放棄農地や無管理の森林が増加
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人口減少等の社会経済状況の変化に対応した土地利用の取組
- 低・未利用地の発生の顕在化を予想
- 環境・景観の悪化、火災・犯罪の発生等の懸念
- 土地所有者以外にもNPOや住民等が参画した取組が必要
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透明・公正な市場を通じた合理的な価格形成に向けた取組
- 不動産の金融商品化が進行
- 透明性・公正性の高い市場の条件整備が必要
- 一部の地域の土地取引価格情報をインターネットを通じて公表
(http://www.land.mlit.go.jp/webland) (注1) - 不動産投資インデックスの整備が必要 (注2)
- 地籍調査の進捗率は全国で46%、都市部で19%に止まる
- 定期借地権のうち、事業用借地権は20年超の存続期間への延長が必要
- 投資家保護、投資リスクを踏まえた法整備の実施
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良質な不動産ストックの形成
- 企業年金等が不動産投資を行いやすい市場環境の整備が必要
- 宅地改策の転換が重要
- 人口や世帯数の減少は住空間や緑地等を充実させる好機
- 住民自らが居住する住宅地の魅力を維持・向上させる取組を促進させる仕組みの検討
- 既存ストックを活かした地域づくりの取組(伊勢市おかげ横丁等の事例)
(注1)土地取引価格情報の公表
4月27日から7都府県の一部の地域に限られ試行としてスタート。公表直後1週間で282万件の閲覧を記録しており、今後は順次対象エリアを拡大していく予定である。(注2)不動産投資インデックス
不動産の収益率を表したものであり、不動産投資を合理的に検討し、投資効果を客観的に評価するための指標である。
IPD英国 |
NCREIF |
PCA/IPD |
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公表頻度 | 年次 | 年次 | 年次 |
対象国 | イギリス | アメリカ | オーストラリア |
インデックス開始年 | 1971 | 1978 | 1984 |
物件数(H16.12末現在) | 10986 | 4152 | 559 |
以上