第38回「賃料評価(その7)…利回り法」
2007.05/22
経済レポート2160号[平成19年5月22日]掲載
- 利回り法
利回り法は継続賃料の評価を行う場合の手法の1つで、次式により表されます。
逆さ読みすれば、「価格時点における対象不動産の価格」に「前回改定時の利回りに調整を加えた新しい利回り」を乗じて、これに「必要諸経費等」を加算して求めることとなります。 - 具体例現行賃料年間600万円(平成16年に改定)、当時の必要諸経費等120万円、当時の不動産価格1億円、現時点の不動産価格1億2千万円、現時点の必要諸経費等130万円とし計算します。
- 最後にこの手法の考え方は、継続賃料は契約当事者の個別・具体的な事情を反映して決められることから、前回改定された時点での利回りを求め、ここに着目することにより契約の個別性を反映させるものです。また、契約当事者が過去に取り決めた賃料を利回りという形に変換することによって、様々な各種の利回り水準と相互比較検討が容易になります。
この手法の問題点としては、不動産価格の急激な変動、特に効用の増減を伴わない変動の場合(仮に前回の利回りをそのまま採用すれば、賃料は不動産価格と経費の増減にフルスライドする結果となります)。前回改定時が遠い過去である場合等があげられます。
以上