第68回「改正農地法と農地の評価」
2009.12/15
経済レポート2285号[平成21年12月15日]掲載
- はじめに 平成21年6月24日農地法等の一部を改正する法律(以下改正農地法といいます)が公布されました。法律の施行は公布の日から6ヶ月以内とされていますので、年内には新しい制度がスタートします。今回の農地制度の見直しの基本的な目標は、「農地を確保し、その有効利用を図ることで、国内の食料供給力を強化する」ことです。そこで、今回から2回シリーズで「改正農地法と農地の評価」についてとりあげます。今回は改正農地法の概要です。
- 農地法の目的の大転換
改正前の農地法の目的(第1条)は、「農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当であると認めて、耕作者の農地の取得を保進し、・・・・・・」とするいわゆる農地耕作者主義となっていましたが、今回の改正では、「・・・・・・農地を農地以外のものにすることを規制とするとともに、農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮した農地についての権利の取得を促進し・・・・・・」と農地を確保しつつ効率的な利用を促進するという考え方に変更されており、農地法の目的そのものが大転換しています。今回の改正は戦後の農地改革以来の大変革ともいわれています。 - 改正農地法の概要
今回の農地制度の見直しの概要は次のとおりです。【(1)これ以上の農地の減少を食い止め、農地を確保 】
- 農地転用規制の厳格化
(a) 病院、学校等の公共施設への転用についても、許可不要から協議制へ
(b) 違反転用に対する罰則を強化(法人:300万円→1億円) - 農用地区域内農地の確保
農用地区域からの除外が厳格化
【(2)農地を貸しやすく、借りやすくし、農地を最大限に利用 】
(a) 農地を適正に利用する多様な者(企業、NPO、非農家も
含めた集落営農法人等)の参入を拡大
(b) 市町村、公社等公的機関が、委任を受け、分散した農地を
面的にまとめる仕組みを導入
(c) 遊休農地対策の強化【(3)その他 】
(a) 農地の有効利用を促進する観点から、農地税制を見直し
(b) 民法により20年以内とされている農地の賃貸借の存続期間が50年以内に
(c) 標準小作料制度の廃止(但し、地域における賃借料の目安とするため、
農業委員会が農地の賃借料情報の提供等を行う)
(d) 「小作地」「小作農」等の用語の見直し - 農地転用規制の厳格化
以上