第144回「証券化不動産の評価(その4)」
2016.09/13
経済レポート2589号[平成28年4月19日]掲載
- はじめに シリーズで、「証券化不動産の評価」をとりあげています。今回は、「証券化市場の今後の見通し」についてです。日本におけるJリート市場は平成13年9月に2銘柄、資産規模0.3兆円、時価総額0.2兆円でスタートしましたが、平成28年2月末時点では53銘柄、資産規模14.6兆円、時価総額11.5兆円にまで拡大し、その投資対象も多様化しています。
- 不動産投資市場の成長戦略 国土交通省の有識者会議「不動産投資市場政策懇談会」は、平成28年3月22日「不動産投資市場の成長戦略」と題して、2020年に向けた成長目標と具体的取組を提言しました。これによると、2020年(平成32年)頃にJリート等の資産総額を約30兆円に倍増させるとする成長目標を掲げています。
- 成長目標達成のための取組策 30兆円に向けた、具体的な取組としては次の事項を挙げています。
①成長分野における不動産投資市場の拡大と国際競争力の強化
(1)国際ビジネス、観光、物流、ヘルスケア等の成長分野における不動産投資の促進
(2)環境、耐震性など性能や品質に優れた不動産への投資の促進
(3)公的不動産(PRE)、企業不動産(CRE)等の活用推進
(4)不動産投資市場の国際競争力の強化
②地域を活性化する不動産ストックの再生
③資金供給の担い手の多様化等
(1)年金基金等の機関投資家による投資促進
(2)個人投資家の資金の活用促進
(3)海外投資家によるインバウンド不動産投資の促進
④不動産市場の透明性向上等
(1)Real Estate Techの発展を支える不動産情報の開発や “より早く、より便利な”データの提供
(2)市場の成長に対応した鑑定評価の充実 - 最後に 大都市圏を中心に証券化は進展し、これからも多様化・活性化していくものと見込まれますが、一方で地方都市では活用が進んでいないのが実態ではないでしょうか。次回は地方都市における不動産証券化をとりあげてみます。
以上
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