第156回「広大地(その2)」
2017.09/14
経済レポート2637号[平成29年4月18日]掲載
- はじめに 平成29年度税制改正で、「広大地」の評価見直しが決定しました。これは、相続税法の時価主義の下、財産評価の適正化のために、実態を踏まえて見直しを行うとしています。
具体的には「広大地の評価について、現行の面積に比例的に減額する評価方法から、各土地の個性に応じて形状・面積に基づき評価する方法に見直すとともに、適用要件を明確化する。」となっています。
前回は、そもそも論として評価と地積について言及しました。今回はいよいよ広大地をとり上げます。 - 広大地とは 一般に規模が大きい土地のことは、従来、大規模画地、面大地、地積過大地等とよばれていましたが、広大地という言葉は平成6年の評価通達によって、税務上、新設(登場)した概念です。
広大地とは、税務上(評価通達上)、次のとおり定義されています。
この広大地に該当すると、単に地積のみを基準として最大で65%の評価減が可能となります。 - 問題点 この様に相続税の財産評価上大きな減価が可能となる広大地ですが、次の様な問題点も指摘されていました。
・まず、そもそも広大地に該当するか否かの判定が難しい。
・次に、広大地に該当する場合、単に地積のみを基準とした算式によって減価率が決定する。(形状の良し悪しや、奥行の長さ等が評価上反映されない。) - 最後に 広大地の適用を受けられるか否かで評価額に雲泥の差が生じることから、適用要件を明確化すると同時に、形状等も加味して減価率を算定することとなるため、今般の改正によって、形状の良い土地等では評価額が上がる可能性が高いのではないかと予測されています。
なお、最近では、単に地積の大きい土地のことを広大地と呼ぶ者もあり、税務上の定義と異なって使用されているケースもあるので、実務上は注意が必要です。
以上
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