第169回「地価公示」
2018.10/12
経済レポート2690号[平成30年5月29日]掲載
- はじめに 平成30年の地価公示は、全国26,000地点(広島県では639地点)を対象に実施され、3月28日に発表されました。全国平均は+0.7%で、3年連続して上昇し、その上昇幅も拡大する結果となっています。
その詳細をみると、全国の用途別の平均変動率は、住宅地+0.3%、商業地+1.9%、工業地+0.8%と住宅地は前年の横ばいから10年ぶりに上昇に転じ、商業地は3年連続して上昇、工業地は2年連続して上昇しています。
また、地方中枢都市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)に限ると9割近くの地点が上昇傾向にあります。ただ、地方圏では地場産業の低迷や人口減等で地価の下落に歯止めがかからない地点もあり、二極化も一段と進んでいる状況となっています。 - 地方中核都市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)の状況 この地価公示は昭和45年に第1回が実施され、今回で49回目、まもなく制度開始から50年を迎えます。振り返ってみますと、昭和47年、当時の田中角栄総理大臣による日本列島改造論は大ブームとなり、地価高騰の引き金となりました。
ちなみに、昭和48年当時の広島市はこの4都市の中で最も地価が高く、当時の福岡市の地価は、住宅地で広島の50%弱水準、商業地は70%弱水準程度と思われます。現在の地価を、商業地の最高価格で比べると、平成30年地価公示では福岡市は広島市の3倍強の水準にまで至っており、完全に逆転しています。
- 地価公示の役割等 地価公示の役割としては、従来から、一般の土地の取引価格に対する指標、相続税評価、固定資産税評価の目安、公共用地の取得価格の算定の規準等があげられていますが、近年では社会・経済活動についての制度インフラとしても位置づけられており、従来の役割に加えて、取引価格情報の制度的基礎、経済活動・学術研究のための統計データとしての意義も指摘されています。
以上
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