第206回「区分地上権(その1)」
2021.11/24
経済レポート2836号[令和3年6月15日]掲載
- はじめに 駅構内を横断する自由通路や地下鉄等では区分地上権が設定されていることがあります。この区分地上権は、土地全体を利用するのではなく、空中又は地下の一定の範囲を区分して部分的に利用する権利です。
今回から、区分地上権の評価を2回にわたって取り上げます。
- 区分地上権
不動産鑑定評価基準では区分地上権の価格は次のとおりとなっています。区分地上権の価格は、一般に区分地上権の設定に係る土地の経済価値を基礎として、権利の設定範囲における権利利益の内容により定まり、区分地上権設定地全体の経済価値のうち、平面的・立体的空間の分割による当該権利の設定部分の経済価値及び設定部分の効用を保持するため他の空間部分の利用を制限することに相応する経済価値を貨幣額で表示したものである。 また、留意事項として次の2つをあげています。
①区分地上権設定地の経済価値は、当該設定地の最有効使用に係る階層等に基づいて生ずる上下空間の効用の集積である。したがって、区分地上権の経済価値は、その設定地全体の効用との関数関係に着目して、その設定地全体の経済価値に占める割合として把握される。 ②区分地上権は、他人の土地の地下又は空間の一部に工作物を設置することを目的として設定する権利であり、その工作物の構造、用途、使用目的、権利の設定期間等により、その経済価値が特定される。
- 具体例
以上から、評価を行うにあたっては、その前提として、次の様な設定範囲等の契約内容を、まず、確定しておく必要があります。
・目的…自由通路(道路橋の所有目的)
・区分地上権の設定範囲(区分地上権の上下の範囲)
・存続期間…この契約を締結した日から道路橋が存続している期間
・地代等…区分地上権設定時に設定対価を支払う。地代は無償とする。
・数量…区分地上権設定部分実測地積計○○○㎡
次回は、評価手法に言及します。
以上
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