第208回「林地評価(ウッドショック)…その1」
2022.01/11
経済レポート2845号[令和3年8月24日]掲載
- はじめに 新型コロナは各方面に影響を及ぼしていますが、その1つとして、「ウッドショック」と呼ばれる木材価格の高騰が問題化しています。新型コロナがアメリカの新築住宅需要増をもたらし、その影響によって木材価格が高騰し、それに伴って木材の約6割を輸入材に頼っている日本への影響が懸念される事態となっています。かといって、日本の林業の構造的問題(労働力不足、長期化している木材価格の低迷等)や性能面等からみて、国産林の供給を増やすことも簡単ではないといわれています。
そこで、今回から、林地の価格を取り上げます。
- 林地とは
林地は、鑑定評価基準上は、「林地地域とは、林業生産活動のうち木竹又は特用林産物の生育の用に供されることが、自然的、社会的、経済的及び行政的観点からみて合理的と判断される地域をいう。林地とは、林地地域のうちにある土地をいう。」と定義されています。
ちなみに、不動産登記上は、林地という地目はなく、「耕作の方法によらないで竹木の生育する土地」を山林と定めています。
「林地」や「山林」は土地部分を示し、「立木」は土地上の立木竹の部分を示し、これらが一体となった複合的なものが「森林」と定義されることが多い様です。 - 林地の種類(区分) 国土交通省地価調査課監修の土地価格比準表では、林地地域は、立地条件、宅地化の影響度、林業への依存度等を判定基準として、次の4地域に細区分されるとしています。
都市近郊林地地域 都市の近郊にある林地地域で、宅地化の影響を受けている地域 農村林地地域 農家集落の周辺にある林地地域で、いわゆる「さとやま」とよばれ、当該地域にあっては、一般に農業を主に林業を兼業している農家の多い地域 林業本場林地地域 林業経営を主とする林家の多い地域又は地方の有名林業地で、有名林業地としての銘柄の用材又はこれに準じる用材を生産している林地地域 山村奥地林地地域 農家集落への距離等の交通接近条件の劣る地域で、林家は少なく、かつ、散在している林地地域 鑑定実務上は上記の区分によることが一般的ですが、固定資産税の評価では、「一般山林」と「介在山林」の2つ、財産評価基本通達では、「一般山林」、「中間山林」、「市街地山林」と3つに大別されています。
- 最後に
鑑定上は、現況主義を取っていませんので、仮に土地上に立木が存在していたとしても、宅地化することが合理的であれば、林地とはいいません。また、市街地に近いものについては、「宅地化の影響の程度(強弱)」が評価上重要なファクターとなる場合があります。
次回は、具体的な評価を取り上げます。
以上
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