コラム(詳細)

第215回「不動産の種別」

2022.08/10

経済レポート2875号[令和4年3月29日]掲載

  1. はじめに  不動産は地域性を有すること等から、評価にあたっては、その地域特性に応じた分析が必要となります。この場合、不動産の用途に関して、区分・分類することが一般的であり、この様な分類方法を鑑定上は「種別」と定義しています
  2. 地域の種別
     地域の種別は、まず、「宅地地域」、「農地地域」、「林地地域」等に大別されます
     次に、宅地地域では、住宅地域、商業地域、工業地域に細分化。このなかでも、さらに、例えば商業地域においては、高度商業地域、普通商業地域、郊外路線商業地域等に細々分化されています。
     また、地域性は常に変化するものであることから、大別されたある種別の地域から他の種別の地域へと転換しつつある地域を見込地地域といいます。(農地地域から宅地地域に転換しつつある場合は宅地見込地地域といいます)。細分化された地域間で移行しつつあるものは移行地地域といいます。(例えば、工業地域から住宅地域へ移行しつつあるもの等)
  3. 路線価による地区区分
     閑話休題。以上は鑑定上の地域の種別ですが、税務上の取扱いは異なっており、路線価方式により評価する地域においては、次の7つの地区に区分され、その調整率も地区に応じて異なったものが採用されています。
     なお、この地区区分は評価者が判断するものではなく、路線価図に表示されており、国税局長が定めることとされています。
    【 路線価方式による7つの地区区分 】

    ◇ビル街地区   ◇普通商業・併用住宅地区   ◇中小工場地区

    ◇高度商業地区   ◇普通住宅地区   ◇大工場地区

    ◇繁華街地区

  4. 最後に
     以上が、鑑定上の地域の種別と路線価方式における地区区分でした。いずれも用途的地域すなわち用途的に同質性を有する一定の地域を前提として、評価にアプローチしようとする方法(考え方)です。
     また、鑑定上、地域の種別の判断基準は、自然的、社会的、経済的及び行政的観点からみて合理的に判断するとしていますので、都市計画法上の用途地域(第1種低層住居専用地域、商業地域、工業地域等…)と必ずしもリンクするものではありません。なお、現況主義も採用していませんので、例え、その土地が田として耕作されていたとしても、宅地地域内にあれば、鑑定上は田ではなく宅地と判定されます。(但し、宅地の価格と同額に評価されることを意味するものではありません。)
     次回は、その有形的利用及び権利関係の態様に応じて区分される不動産の分類である「類型」をとり上げます。

以上

 

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